静岡県・伊豆韮山に構える「反射炉ビヤ」は、世界文化遺産・韮山反射炉のふもとで生まれたクラフトビールブランド。明治日本の産業革命を支えた歴史的な地にルーツを持ち、1997年に「蔵屋鳴沢」が創設したこのブルワリーは、伝統と革新を融合させたビール造りで知られています。

かつては日本酒や茶の製造を行ってきた蔵屋鳴沢が、地元の良質な湧き水とともに育んできたのは、伊豆の物語をビールで紡ぐという新たな挑戦。その名に込められたのは、幕末に反射炉建設を提言し、時代を切り拓いた代官・江川太郎左衛門への敬意です。歴史とともに歩むクラフトビールとして、地域の記憶と味を未来へと伝えています。

定番ビール「太郎左衛門」は、その名代官の名を冠したイングリッシュペールエールで、飲むほどに深まる旨みが特徴。源頼朝や北条早雲、北条政子といった伊豆ゆかりの人物をモチーフにした銘柄が揃い、クラフトビールのひと口ごとに歴史の風景がよみがえります。

ブルワリーでは20〜30種のモルトを組み合わせ、若いブルワーたちが日々研究と試行錯誤を重ねて新たな味を創出。無ろ過・非加熱にこだわり、酵母の生きた豊かな味わいを追求しています。また、春と秋には隣接する茶畑での茶摘み体験も実施し、地域の文化との触れ合いも大切にしています。

目の前に歴史、隣には自然。伊豆韮山という唯一無二の風土と、そこに息づく物語が染み込んだ一杯。それが、反射炉ビヤの誇りです。クラフトビールを通して、過去と今、そして未来をつなぐ味わいが、ここにあります。