八戸麦酒を製造する株式会社カネク醸造は、青森県八戸市南郷の豊かな自然に囲まれた里山に拠点を構えるブルワリーです。
そのルーツは、創業者が2011年に出張先のドイツで初めて味わった本場のヴァイツェンに感銘を受けた体験にさかのぼります。帰国後、地元ではその味に出会えなかったことから、クラフトビールへの関心が一気に高まり、いつか自らの手で個性豊かなビールを醸したいという想いが芽生えました。
そして2020年、これまで機械修理業に従事していた創業者が、地元への思いと自身の「ものづくり」への情熱を重ねてクラフトビール造りの道へ転身。
かつて家業として営まれていた百貨店「カネク山形清助商店」の屋号を受け継ぎ、カネク醸造を立ち上げました。「醸造」というキーワードのもと、味噌や醤油造りの趣味を活かしながら、地元に根ざしたビールを目指して日々醸造に取り組んでいます。
拠点となる南郷地域は、蕎麦やブルーベリーといった農産物が豊富で、かつては捕鯨の村としても知られていた土地。
また、国内有数のジャズフェスティバルが開催される音楽の町としても知られています。こうした文化的背景を取り込むかのように、カネク醸造のロゴにはサックスを吹く猫の姿が描かれており、「ネコ屋敷」と呼ばれた地域や創業者の愛猫をモチーフにしたユーモラスで温かみのあるデザインとなっています。
定番にとらわれず、多様で独創的なレシピに挑み続ける八戸麦酒は、南郷の風土や文化、創業者の情熱が詰まったクラフトビールです。
地元への愛情とクラフトビールへの探究心が融合したその味わいは、訪れる人々に静かな感動をもたらしてくれます。