宮城県大崎市の鳴子温泉郷・鬼首(おにこうべ)温泉に醸造所を構える「鳴子温泉ブルワリー」は、1999年、地ビールブームの波に乗って誕生しました。豊かな自然に囲まれた標高約500メートルの吹上高原に位置し、その清らかな水と澄んだ空気に育まれたクラフトビールは、まさに“鳴子の風”の一滴とも言える存在です。
運営するのは、地元のまちおこしを担う第3セクターとして設立された株式会社オニコウベ。現在は観光施設の運営をはじめとした地域活性化事業の一環として、ブルワリー事業を展開しています。
創業にあたっては、埼玉の有名ブルワリー「コエドブルワリー」からノウハウを学び、本格的なビール造りの道を歩み始めました。
鳴子温泉ブルワリーの最大の魅力は、地元の恵みを活かした独自のビール造りにあります。例えば、地元のブランド米「ゆきむすび」を使った和の風味漂うエールタイプのビールや、山ぶどうの果汁をふんだんに使った果実感たっぷりのエールなど、自然の味わいをそのままグラスに詰め込んだような個性豊かな銘柄が揃います。中でも、定番の「高原ラガー」は、麦芽のコクと爽快なのど越しが楽しめる王道の一杯。どれも副原料の個性が一口目からはっきりと伝わる、香り高く味わい豊かなビールです。
“泡の美味しさ”や“品質の安定性”といった基本に忠実でありながら、ビールが苦手な人や初めての人にも優しく寄り添うような設計がされており、訪れる人々に地元の魅力とともにビールの新たな一面を届けています。
鳴子温泉の雄大な自然に包まれながら、地元の素材を生かし、ゆったりと流れる時間の中で醸される鳴子温泉ブルワリーのクラフトビール。
観光地としての鳴子の魅力に、新たな彩りを添える“ご当地ビール”として、今も地域に根ざしたものづくりを続けています。