宮崎県・日南市に拠点を構える「日南麦酒」は、焼酎の伝統を受け継ぐ家系から新たな挑戦として誕生したクラフトビールブルワリーです。2016年に設立され、地域の風土と誠実なものづくりの精神を背景に、少量生産で丁寧に仕込まれるビールを提供しています。
創業者であり醸造責任者の橋本彰史さんは、もともと自動車部品業界出身という異色の経歴の持ち主。父の代から継いだ焼酎蔵「櫻乃峰酒造」で10年にわたり焼酎造りに携わるなかで、職人としての哲学と情熱を育み、やがて「ゼロから新しいものを生み出したい」との思いからビール醸造の世界へと足を踏み入れました。
東京のバーで出会った自家醸造ビールに心を打たれたのが転機となり、知識を学び、設備を整え、2017年よりビールの醸造を開始。「飲みやすさと飲み応えの両立」を目指し、酵母の扱いから温度管理、炭酸ガスの調整まで、職人的な緻密さで味わいの高みを追求しています。
地元・宮崎への愛情も深く、人気銘柄には日南のサーフスポット「木崎浜」をイメージしたペールエールや、「日本の棚田百選」に選ばれた坂元棚田の米を使ったエールなど、地域の景色や食文化を反映したラインナップが揃います。
3日に1度のペースで仕込みを続ける橋本さんのビール造りは、まさに情熱と探究心の結晶。華やかな香りとバランスのよい飲み心地は、女性にも人気が高く、今では九州から全国へとファンを広げています。
焼酎造りで培った“心をこめる”という職人の信条を、そのままクラフトビールに注ぎ込む。
日南麦酒は、誠実なものづくりの力をあらためて感じさせてくれるブルワリーです。