和歌山ブルワリーは、和歌山城のほど近くに位置するクラフトビールの醸造所です。
平成28年にクラフトビールの製造免許を取得し、AGARAブランドとしてIPAやPale Ale、Weizenなど多彩なビールを展開しています。地元の特産品を使用した季節限定ビールの製造にも力を入れており、和歌山の風土や味覚をビールを通して伝えることを目指しています。

同ブルワリーは、約300リットルの醸造タンクを2基備えた設備を活かし、一般消費者向けの醸造体験も提供。さらに、飲食店などへのオリジナルクラフトビールのOEM製造にも積極的に対応しています。こうした取り組みにより、地域とのつながりを深めながらクラフトビールの魅力を広げています。

地域資源の活用に加え、排出される副産物を畜産飼料として再利用するなど、循環型社会の実現にも注力しています。その飼料で育てた牛は自社店舗で提供され、地域と企業が連携して成立するビジネスモデルを築いています。商品そのものだけでなく、背景にある物語や価値を届けることを大切にしている点も特徴です。

また、和歌山工業高等専門学校との協業にも取り組んでおり、学生の研究成果を実際の商品開発へとつなげています。たとえば、2018年に100年ぶりに新種と認定されたクマノザクラから分離された酵母を使用したビールを開発し、和歌山県内外で販売。若者を地域資源と捉え、次世代の育成や地域活性化にも貢献しています。

和歌山ブルワリーは、クラフトビールを単なる飲み物ではなく、地域と人をつなぐツールとして捉えています。和歌山に根ざしながらも、国内外に向けてその魅力を発信し続ける姿勢が、ビールの味わいにも深みを与えています。