株式会社玉村本店は、1805年(文化二年)創業、長野県下高井郡山ノ内町に本拠を構える歴史ある酒蔵です。屋号の「玉村」は、初代が酒造りの修行をした上州玉村(現在の群馬県佐波郡玉村町)に由来し、志賀高原の麓という自然豊かな地で、220年余にわたって清酒『縁喜(えんぎ)』をはじめとする酒造りを続けてきました。清冽な水、澄んだ空気、寒冷な気候といった地域の恵みを活かし、代々受け継がれてきた酒造りの技とともに、地域に根ざした酒文化を守り続けています。
明治・大正時代には宮内省御用達や新嘗祭への献上など格式高い歴史をもち、今でも自家栽培の美山錦を使った酒造りを大切にしています。また、2004年からは「志賀高原ビール」「山伏」ブランドでクラフトビールの製造もスタート。自家栽培ホップや酒米、麦、ブルーベリー、ラズベリーなど原材料づくりから積極的に関わり、“自分たちが飲みたいビール”を目指して試行錯誤を重ねています。
志賀高原ビールは、「この地だからこそできる味」を追求し、収穫したばかりの生ホップを使ったみずみずしい限定品「Harvest Brewシリーズ」など、ユニークなビールも展開。ビール造りを通して、原料や風土と向き合うことで地域の魅力向上にも貢献したいという思いが込められています。
ベルギービールにインスパイアされた「山伏」シリーズは、瓶内二次発酵・熟成による複雑な味わいと日本独自のアプローチを特徴としています。山深い志賀高原の風土と信仰を背景に、修道僧が造るベルギービールに対して“山伏”になぞらえ、日本ならではの個性を大切にしたビールを造り続けています。
小規模であっても、効率や均質化に流されず、丹念に適正規模で酒とビールを造り、責任をもって届ける。「自分たちが飲みたい」と思える最高品質の酒を造ることが、地域の誇りとなり、その酒を味わうために人々が訪れたくなるような酒蔵であり続けたい――株式会社玉村本店は、そんな思いで日々酒造りに励んでいます。