東京・目白の閑静な住宅街に佇むInkhorn Brewing(インクホーンブルーイング)は、2021年に創業したクラフトビールブルワリー。創業者・中出駿氏が「日本のビールにもっと物語を」という想いのもと立ち上げた、感性とストーリー性を大切にする醸造所です。

アメリカ西海岸でクラフトビール文化に触れた中出氏は、日本に戻った際に感じた“選択肢の少なさ”をきっかけに独立。ジプシー醸造で経験を積み、2021年に目白でタップルームをオープンしました。ガラス張りの開放的な空間と立ち飲みスタイルのカジュアルさが特徴で、地元の人々やビールファンが気軽に集うコミュニティの場となっています。

「Inkhorn(インクホーン)」という名前は、かつて使われていた角製のインク壺に由来し、“ビールを通して物語を紡ぐ”という意味が込められています。そのコンセプトを象徴するのが、印象的な缶デザイン。鳥をモチーフにした水彩画のラベルと余白を活かしたミニマルなデザインは、まるで小さなアート作品のようで、飲む前から物語が始まります。

醸造面では、ホップやモルト、酵母といった素材の個性を最大限に引き出すことを重視。IPAなどではホップの魅力を限界まで引き出す“足し算”のアプローチを、ラガーでは無駄を削ぎ落とす“引き算”の設計を採用し、スタイルごとに緻密に味わいを組み立てています。特にドライホッピングの技術を活かした、香り豊かなビールは高い評価を得ています。

また、定番にとらわれず常に新しいビールを生み出し続ける柔軟な姿勢も特徴。地域のブルワリーとのコラボレーションや、コミュニティとのつながりも大切にしながら、目白の街角から世界へとその物語を広げています。

ビールそのものだけでなく、“体験”として楽しませてくれるInkhorn Brewing。グラスを傾けるたびに、新しい物語が始まるブルワリーです。